日銀の植田和男総裁は、12月1日の地元経済界との名古屋市における懇談会後の記者会見で、主に金融政策の現状と今後の判断材料について発言しました。

1. 金融政策の正常化に向けた確信度

  • 現状認識の再確認:日本銀行が金融政策を変更(マイナス金利解除やYCC修正など)する条件である、2%の物価目標の「持続的・安定的達成」への確信度は、「徐々に高まりつつある」という従来の認識を改めて示しました。
  • 判断に必要な情報:政策変更の是非を判断するには、賃金と物価の好循環の強まりを示す「追加の情報」が必要であると強調。特に、来年の春季労使交渉(春闘)での賃上げの動向が鍵を握る主要な判断材料となることを示唆しました。
  • 決定時期:今後公表される四半期の経済・物価情勢の展望レポートなども含め、データを確認し、適切なタイミングで判断する姿勢を強調しました。

2. 経済対策と円安の物価への影響分析

  • 為替(円安)の影響:円安は輸入物価を通じて国内物価に波及し、その影響がインフレ予想にどう反映されるかを注視していくと述べました。
  • 総合経済対策の影響:ガソリン補助金などの物価高対策は、消費者物価指数(CPI)の総合を一時的に押し下げる効果を持つと分析しました。
    一方で、所得のサポートや成長促進の政策は、基調的な物価水準を押し上げる(プラスに作用する)効果があると指摘し、その程度を今後精査する考えを示しました。

3. 地元経済界の意見への受け止め

地元経済界からは、円安による資源・原材料費の高騰や、十分な収益を確保できていない中での「防衛的な賃上げ」への懸念など、厳しい意見が出されたことを報告。 これらの意見は「大変参考になった」と述べ、現場の率直な状況を政策運営に活かしていく意向を示しました。

植田総裁の発言全体として、出口への道筋は徐々に明確になっているものの、賃上げの確実な進展を最終確認するための慎重な姿勢を崩していません。