2025年3月期 大手信金 財務データ分析レポート

本紙編集部が財務データを集計した結果、預金量1兆円以上の大手信用金庫(41金庫)は、2025年3月期において地域経済の回復を背景とした貸出姿勢を明確にする一方、預金の伸びは緩やかになり、財務の健全性(自己資本比率)は安定的に推移しているという全体像が浮かび上がりました。

貸出金の動向:積極的な資金供給へ

前年からの貸出金残高の増減額を分析したところ、調査対象となった約8割の信用金庫で貸出金が増加しました。

分布の中心:

最も多くの信用金庫が集中したのは「+300億円から+600億円」の増加帯でした。これは、コロナ禍からの経済活動正常化に伴う運転資金や、人手不足対策・DX化推進のための設備投資といった、中小企業の前向きな資金需要に積極的に応えた結果と考えられます。

特筆すべき点:

中には1000億円を超える大幅な増加を果たした信用金庫(京都中央信金:預金残高5兆4056億円、貸出金残高3兆4155億円)も見られ、地域経済の成長を牽引しようとする強い意志がうかがえます。貸出金の増加率で見ても、多くの金庫が2%〜6%の安定した伸びを記録しており、信用金庫が地域における重要な資金供給源としての役割を力強く果たしていることが確認できます。

預金残高の動向:安定しているが伸びは鈍化

貸出金とは対照的に、預金残高の伸びは、緩やかなものとなっています。

分布の中心:

預金増減額の分布は「+100億円から+400億円」の範囲に多くの信用金庫が集まりました。これは貸出金の増加額と比べると小さい水準です。

背景:

預金の伸びが鈍化した背景には、長引いた低金利環境の終わりを見据え、個人の貯蓄マインドが投資へと一部シフトし始めたことや、企業が手元資金を投資に振り向け始めた可能性が考えられます。一部では、わずかに預金が減少した金庫も見られました。

預貸率への影響:

貸出金が預金を上回るペースで増加した結果、多くの信用金庫で預貸率が上昇しています。これは収益性改善の観点からは好ましい傾向と言えます。

自己資本比率の動向:健全性を維持しつつ安定的に推移

金融機関の健全性を示す自己資本比率は、全体として大きな変動なく安定していました。

分布の特徴:

前年からの変化を見ると、「-0.2%ポイントから+0.3%ポイント」という非常に狭い範囲にほとんどの信用金庫が収まっています。

微減の要因:

やや比率が低下した金庫が見られますが、これは主に貸出金というリスクアセットが増加したことが分母を押し上げたためであり、経営の健全性が損なわれたわけではありません。むしろ、健全性を維持しながらリスクテイクを行い、地域に資金を供給した結果と評価できます。全ての信用金庫が、国内基準である4%をはるかに上回る高い水準を維持しており、財務基盤は依然として強固です。

総合考察

2025年3月期の大手信用金庫は、「守り」の預金獲得競争から、地域経済の成長を支える「攻め」の貸出へと経営の軸足をシフトさせた姿が明確になりました。預金の伸びは一服しましたが、それを上回る貸出の実行により、地域経済の活性化に貢献しています。

自己資本比率の安定は、その攻めの姿勢を支える強固な財務基盤があることを示しています。今後の金融政策の正常化を見据え、この貸出姿勢を維持しつつ、いかに収益性を高めていくかが今後の課題となるでしょう。