分析概要
1. ポジションの由来と引き継ぎの経緯
- ベアー・スターンズからJPモルガンへ: 2008年の金融危機(リーマンショック)時、破綻したベアー・スターンズが抱えていた巨大な銀の空売りポジションを、連邦準備理事会(FRB)の要請を受けたJPモルガンが引き継ぎました。
- JPモルガンからBank of Americaへ: 近年の分析(特に著名な銀市場アナリストの故テッド・バトラー氏らによるもの)では、Bank of Americaが保有する膨大な銀の空売りポジション(推定数億〜10億オンス)は、JPモルガンからリースされた物理的な銀を売却(空売り)した結果であると指摘されています。
2. ポジションの規模とリスク
- 巨大な規模: Bank of Americaの空売りポジションは、世界の年間銀生産量(約8〜9億オンス)に匹敵する8億〜10億オンスに達すると推定されています。
- 潜在的な損失: 2025年後半にかけて銀価格が急騰(10月には50ドルを突破)した際、これらのショートポジションを抱える大手銀行は数十億ドルの含み損を抱えたと報じられています。
3. BofAの公式スタンスとの矛盾
- 興味深いことに、Bank of Americaの調査部門は銀価格に対して非常に強気(bull)な予測(2026年までに35〜40ドル、あるいはそれ以上)を出しています。
- 自ら強気の予測を出しながら巨大な売りポジションを抱えている矛盾について、一部では「顧客のヘッジ(リスク回避)の代理」や「流動性の提供」が目的であるとの見方もありますが、価格上昇に伴う「ショートスクイーズ(踏み上げ)」のリスクを危惧する声も根強くあります。
BofAが抱えているとされる膨大な銀の空売りポジションは、銀価格が急騰した場合、同行の経営や流動性に極めて深刻な打撃を与えるリスクを秘めています。
4. BofAの壊滅的損失(更新情報)
銀価格は12月29日時点で1オンス75ドルへ急騰しています。BofAが抱える巨大な空売り(ショート)ポジションにとって致命的となっています。- 巨額の含み損: BofAは、JPモルガンからリースした銀を市場で売却し、8億〜10億オンスに及ぶ空売りポジションを保有していると推定されています。
- ショートポジションの存在: 米通貨監督庁(OCC:Office of the Comptroller of the Currency)のデータによれば、BofAが膨大な貴金属デリバティブ商品を抱えているのは事実です。
- 試算される損失: 銀価格が30ドル付近から75ドルまで上昇したことで、1オンスあたり45ドルの損失が発生しています。10億オンスのポジションであれば、含み損は450億ドル(約6.5兆円)という、一銀行の存立を揺るがす規模に達しています。
- 踏み上げ(ショートスクイーズ): 価格上昇に耐えきれなくなった空売り勢が買い戻しを迫られ、それがさらに価格を押し上げる「破滅的なループ」が現実のものとなっています。
5. 「リースメタル」という時限爆弾
Bank of Americaのポジションの多くは、JPモルガンなどから「借りた銀(リース)」を市場で売却したものだと指摘されています。- 現物返却の義務: リース契約である以上、いずれは「現物の銀」を返却しなければなりません。しかし、世界的な銀不足が進行し、市場で現物を調達できなくなった場合(または極端な高値になった場合)、Bank of Americaは返却不能、あるいは天文学的なコストでの調達を余儀なくされます。
6. 信用不安とシステミック・リスク
Bank of Americaは「G-SIBs(Global Systemically Important Banks:グローバルなシステム上重要な銀行)」の一角であるため、同一行の貴金属部門での巨額損失は、単なる一銀行の問題に留まりません。- カウンターパーティ・リスク: Bank of Americaと取引がある他の金融機関への波及が懸念され、金融システム全体の信用不安(システミック・リスク)を招く恐れがあります。
- 皮肉な予測: Bank of Americaの調査部門自体が「2026年に向けて銀価格は上昇する」という強気の予測を出していることは、同行のトレーディング部門が抱えるリスクと矛盾しており、経営陣の判断やリスク管理体制への不信感につながる可能性もあります。
Google Geminiによる画像生成