金融ストラテジストのグランディッチ氏の主張は「日本の金融政策転換が世界的な『円キャリートレード』の巻き戻しを引き起こし、米国債市場および米国経済に深刻な危機をもたらしている」という点と、「その対抗策としての金(ゴールド)の重要性がかつてないほど高まっている」という点です。
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分析概要
日本発の金融ショックと米国債への影響
グランディッチ氏は、日本が30年間にわたりゼロ金利政策と無限の円刷りを行うことで、世界の「金融の印刷機(monetary printer)」としての役割を果たしてきたと指摘します。しかし、日本の10年物国債利回りが1.7%(2008年以来の高水準)に上昇したことで、歴史上最大の「円キャリートレード」が終了しました。- 米国債の買い手不在:これまで日本は低金利で調達した資金で約3.3兆ドルの米国債を購入し、米国の低金利を支えてきました。しかし、自国の債務問題(対GDP比263%)や金利負担の増加により、日本はもはや米国債の買い手ではなく売り手に回っています。
- 米金利への圧力:中国も同様に売り手に回っており、FRBが利下げを行っても米国の長期金利が上昇してしまう原因は、これら主要な買い手の不在にあります。
米国経済の構造的脆さと「アメリカンドリーム」の崩壊
米国内部の経済状況についても、グランディッチ氏は極めて悲観的な見解を示しています。- 債務危機:米国の債務は38兆ドルに達し、50兆ドルに向かっています。金利上昇により、利払いだけで年間2.5兆ドルに達する見込みですが、国の歳入は6兆ドル未満です。
- 退職者の危機:シニア層の最大の恐怖は「死」ではなく「生きている間に資金が尽きること」になっており、多くの国民が給与ごとの生活を強いられています。
- 住宅と雇用の悪化:住宅取得能力指数は過去最低水準で、若者にとってマイホームや家庭を持つという「アメリカンドリーム」は到達不可能なものとなりました。また、AIの影響等による将来的な失業率の急増(10〜20%)も懸念されています。
金(ゴールド)市場の構造変化と強気見通し
こうした危機的状況の中、グランディッチ氏は金市場に大きな構造変化が起きていると強調します。- 現物市場の勝利:ロンドンやニューヨークを中心とした「ペーパー(先物)市場」の影響力が薄れ、アジアやBRICS諸国を中心とした「現物市場」が価格決定権を持ち始めています。
- アジアの需要:中国の若者は投資として現物ゴールドを購入しており、インドでも直近で輸入が急増しています。これは、欧米の消費者が不要なものを買うのとは対照的です。
- ウォール街の変化:伝統的な「株式60%・債券40%」のポートフォリオが見直され、「株式60%・債券20%・金20%」という配分が議論され始めるなど、機関投資家も金を無視できなくなっています。
- 価格予想:来年の今頃には、金価格が5000ドルに挑戦する展開も十分にあり得ると予測しています。
ピーター・グランディッチ氏(右)