Euro Pacific Asset ManagementのCEO、Peter Schiff(ピーター・シフ)氏の主な論点と主張は、「金(ゴールド)価格が4000ドルを超えているのは、米国の誤った財政・金融政策によるドルの価値破壊を反映したものであり、これはドルの基軸通貨としての地位の終焉と、生産国(特に中国)に対する消費国アメリカの敗北を示す兆候である」というものです。
動画再生回数は、1日で5万回以上。(画像は、ピーター・シフ氏とグレン・ディーセン教授のスクリーンショット)
分析概要
🥇 金(ゴールド)の高騰とドルの価値破壊
シフ氏の主張の核心は、金価格が4000ドルを超えて高騰しているのは、金自体が本質的に価値を上げたのではなく、米ドルがその価値を劇的に失った結果であるという点です。同氏は、自身が25年前に金(当時約300ドル)を推奨して以来、金はS&P 500よりも優れたパフォーマンスを上げてきたと指摘します。これは、金が「FRB(連邦準備理事会)がゼロから作り出せない実物のお金」であるのに対し、ドルは政府によって価値を破壊され続ける「不換紙幣(fiat currency)」だからです。
📉 「ブーム」という名の幻想:経済の実態
シフ氏は、トランプ大統領が主張する「歴史上最強のブーム」という経済認識は「B.S.(デタラメ)」**であると真っ向から否定します。- 低い支持率:もし経済が本当に史上最強であれば、トランプ大統領の経済運営に関する支持率が過去最低水準(33%)であるはずがないと指摘します。国民が経済に不満を持っているのは、彼らが「個人的な経験」として経済の悪さを実感しているからだとしています。
- GDPの欺瞞:GDP統計も「B.S.」であると主張します。GDPはインフレによって人為的に押し上げられており、政府が使用するインフレ調整(GDPデフレーター)は実際のインフレを過小評価しているため、実質的な経済成長はなく、むしろ「経済は縮小している」と分析しています。
🏭 日本との対比:生産国🇯🇵 vs 消費国🇺🇸
シフ氏は、米国の経済構造がいかに脆弱であるかを、日本と比較して強調しています。- 米国の上位雇用主トップ10のうち8社は、ウォルマートやアマゾンのような小売業であり、残りの2社(UPS、Fedex)はそれらの商品を配送する企業です。
- これに対し、日本では上位雇用主トップ10のうち8社が製造業です。
- この事実は、日本が「生産者の国」であるのに対し、米国は「何も作っていない」サービス経済の国であることを示していると指摘します。
- 米国の雇用の多くは、海外(中国や日本など)からの輸入品を流通させることに依存しており、もし輸入が止まれば、ウォルマートの棚は空になり、米国の雇用の多くは消滅すると警告しています。
💸 債務のマネタイズと「インフレ税」
シフ氏は、米国政府が巨額の債務を返済する唯一の方法は「債務のマネタイズ(貨幣化)」であると断言します。- 外国の中央銀行は、もはや米ドルや米国債の保有を避け、代わりに金を購入しています。これが金価格を4000ドルに押し上げた主な要因です。
- 米国債の最大の買い手である外国政府を失ったため、政府は民間部門で買い手を見つけられず、FRBが紙幣を印刷してその債務を引き受ける(QE:量的緩和)以外に選択肢がなくなると予測しています。
- このプロセスによって引き起こされるインフレは、政府による「隠れた税金」であると定義します。政府が直接課税する代わりに、物価を上昇させることで、国民(および世界中のドル保有者)の購買力を奪っていると非難しています。
ドルの終焉と中国の勝利 🇨🇳
この「インフレ税」を世界中に課していることが、ドルの基軸通貨としての地位の終焉(Dedollarization)を招いていると結論づけています。- 世界はもはやこの「ゲーム」に参加することを望んでおらず、米ドル以外の準備資産として「明白な代替手段である金(ゴールド)」に移行しています。
- 米中経済戦争において、米国は敗北するとシフ氏は断言します。真の力は「借り手」や「消費者」である米国にあるのではなく、「生産者」であり「債権者」である中国にあるからです。
- ビットコインについては、「デジタル・ゴールド」というマーケティング(ミーム)に過ぎず、「デジタル・フード」(食べられないハンバーガーの画像)のようなものだと例え、本質的な価値はなく、いずれ「崩壊する」と予測しています。