キャスターのLena Petrova(レナ・ペトローヴァ)氏は、最近相次いで発覚した銀行詐欺疑惑をきっかけに、米国の金融システム、特に地方銀行が抱える根深い脆弱性について警鐘を鳴らしています。ペトローヴァ氏は、これらの出来事が単なる孤立した不正事件ではなく、長年の低金利政策(「安易な資金」の時代)が終焉を迎える中で顕在化してきた、より深刻な「信用の清算」の兆候であると主張しています。
動画再生回数は、1日で11万回以上。(画像は、レナ・ペトローヴァ氏のスクリーンショット)
分析概要
発端となった詐欺事件と銀行の過失
ペトローヴァ氏はまず、地方銀行の Zions Bancorp と Western Alliance Bancorp が公表した「融資詐欺事件」に触れます。これら2行は、Andrew Steuben と Gerald Marsal に関連する投資ファンドに対し、不良化した商業用不動産ローンの購入資金として融資を行いました。しかし、Zions の子会社が起こした訴訟によれば、約6000万ドルの融資が不正使用され、原資産が無断で他者に移転されたとされています。ペトローヴァ氏が強調するのは、容疑者の有罪・無罪よりも、銀行側の根本的な失敗です。そもそも銀行がこれらの融資の実行を許可したこと、そして融資後の資金使途や原資産の監視を怠ったことが最大の問題であると指摘しています。
市場の過剰反応とシステムの脆弱性 🤯
Tricolor Holdings や First Brands Group のような「サブプライム自動車ローン事業者」の直近の大型破綻(数10億~100億ドル規模)と比較すれば、6000万ドルという損失額は小さく見えるかもしれません。しかしホストは、市場の反応が極めて深刻だった点を重視します。Zions が情報を開示してから24時間以内に、米国の主要銀行74行の時価総額が合計1000億ドル(15兆円)以上も失われました。Zions の株価は13%、Western Alliance は11%も急落しました。ペトローヴァ氏はこれを、金融システム、特に「世界で最も厳しく規制されているはずの」米国の地方銀行がいかに脆弱であるかを示す証拠だと分析しています。
地方銀行特有のリスク
ペトローヴァ氏は、JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOの「ゴキブリは1匹見つかれば、もっといる」という警告を引用し、これが信用システム全体の構造的弱点を示唆していると述べます。特にリスクが高いのが地方銀行です。ペトローヴァ氏によれば、地方銀行は大手メガバンク(JPモルガンやバンク・オブ・アメリカなど)と比べて、以下のような弱点を抱えています。
- リスク許容度がはるかに低い
- バランスシートの強さや収益源の多様性に欠ける
- 2023年のミニ銀行危機(シリコンバレー銀行破綻など)で既に疲弊している
大手銀行の対照的な戦略 🏦
第3四半期の決算では、大手銀行の間で戦略が二分していることが明らかになりました。- 慎重派 (JPモルガン):ダイモン氏の警告と一致し、JPモルガンは貸倒引当金をパンデミック期以来最大の34億ドルに積み増しました。これは明確に景気後退に備える動きです。
- 楽観派 (BofA, モルガン・スタンレーなど):対照的に、他の大手5行は引当金を過去2年で最小レベルに抑え 、モルガン・スタンレーに至っては全く追加しませんでした。バンク・オブ・アメリカ(BofA)は引当金を大幅に削減しています。ペトローヴァ氏はこれを、BofAなどが「最悪期は過ぎた」と判断し「経済がさらに悪化する前に収益を上げようとする賭け」に出ていると分析しています。