Forward Guidanceのポッドキャスト番組「Global Liquidity Cycle & the Worldwide Rush Into Hard Assets」(世界的な流動性サイクルと、実物資産への世界的な資金流入)のAI分析です。

このポッドキャストは、Forward GuidanceチャンネルのFelix氏 が、Crossborder CapitalのMichael Howell(マイケル・ハウウェル)氏とLecker CapitalのQuinn Thompson(クイン・トンプソン)氏をゲストに迎え、マクロ経済と暗号資産の交差点をテーマに議論したものです。

市場を動かすのは経済成長(GDP)ではなく「グローバル流動性」であり、この流動性サイクルと、政府による「通貨の価値低下」という長期トレンドが、金(ゴールド)や暗号資産(クリプト)といったハードアセットへの世界的な資金流入を引き起こしているという主張です。

動画再生回数は、1日で4万回以上。(画像は、マイケル・ハウウェル氏のスクリーンショット)

分析概要

世界的な「金融緩和」と「通貨切り下げ」🪚

議論の中心は、マイケル・ハウウェル氏が提唱する「Global Liquidity(世界的な流動性)」の枠組みです。ハウウェル氏は、市場を動かすのは教科書的な経済理論ではなく、現実の「マネーフロー」であると主張します。

1.現在の市場サイクルと長期トレンド

ハウウェル氏は、短期的な流動性サイクルは「上昇の波」にあり、まもなく「サイクルの頂点」に近づいている可能性があると指摘します。 しかし、それ以上に強力なのが長期的な「トレンド」であり、それは「通貨の切り下げ(Monetary Debasement)」であると断言します。各国政府が法定通貨(Fiat Money)の価値を意図的に毀損させているという認識が、人々の間で広まっていると分析しています。その証拠に、金(ゴールド)価格が急騰しても、人々は「中古の金」を売却せず、むしろ保有し続けている点を挙げています。

2. 米中の「資本戦争」とステーブルコイン(Stablecoin)の脅威

ハウウェル氏は、現在の状況を米国と中国の「資本(キャピタル)戦争」であると特徴づけています。
  • 米国: 財務省短期証券(T-bill)などで裏付けられた「デジタル担保(Digital Collateral)」すなわちステーブルコイン(Stablecoin)を基盤とする金融システムへ移行しようとしています。
  • 中国: 自国の金融システムを「金(ゴールド)」で裏付けようとしています。
ハウウェル氏は、中国が最近「大規模な金融緩和」(過去12カ月で1兆ドル相当)に踏み切った背景には 、米ドルのステーブルコインに対する「途方もない脅威」の認識があると分析します。ステーブルコインが、中国政府の管理(西側諸国と中国国内銀行の両方)を回避できる「資本逃避」の手段として使われることを、中国当局が極度に恐れていると指摘します。 この脅威に対抗するため、中国は自国通貨システムを強化すべく流動性を注入し、米ドルに対してではなく「金(ゴールド)に対して」人民元の価値を切り下げようとしている、というのがハウウェル氏の見解です。

3. ビットコインと金の関係

ハウウェル氏の分析では、ビットコイン価格の変動要因は「グローバル流動性(50%)」「リスク選好(25%)」「金価格(25%)」です。 短期的にはビットコインと金は逆相関することがありますが、長期的には「追いつく(catch up)」関係にあると述べています。 クイン・トンプソン氏も、ETFの登場によりビットコインの従来の「4年サイクル」は終わったとの持論を展開し、近いうちにビットコインは金価格の動きに「追いつく」と予測しました。

結論:歴史的な特異点 🕰️

ハウウェル氏は、現在の金融情勢が「歴史上非常にユニーク」であると結論づけています。シドニー・ホーマーの『金利の歴史』を引用し、「過去4000年の歴史において、過去10年のようなゼロ金利は存在しなかった」と指摘します。 各国政府はすでに増税も歳出削減もできない状況にあり、残された唯一の手段は「マネタイゼーション(債務の収益化=通貨発行による穴埋め)」しかありません。この状況こそが、金や暗号資産といった「通貨インフレ・ヘッジ」手段への世界的な資金流入を招いている根本原因であると主張しました。