動画再生回数は、1日で3万回以上。(画像は、2人のキャスターのスクリーンショット。左がSteven Van Metre氏。右がJeffrey Snider氏)
分析概要
🚗「ベンダーファイナンス(短期融資)」問題が具現化
- サブプライムオートローン会社であるTricolorの破産(連邦破産法第7章による清算)と、オートサプライヤーであるFirst Brandsの破産(同第11章の適用申請)は、市場に衝撃を与え、クレジット市場、特に米ドルシステムにおけるプライベートクレジット(シャドーバンキング)の状態に対する懸念を引き起こしました。
- 「ベンダーファイナンス(短期融資)」は、企業が銀行からの融資を受けられず、在庫や売掛金に頼った代替的な資金調達スキームに走ること。景気循環の末期的な行動であり、他の企業にも同様の危機が潜んでいる可能性を示唆しています。
- Tricolorの破綻は、2008年の金融危機時のサブプライム住宅ローン市場の崩壊と類似しており「サブプライムだから問題が起きても当然」と見過ごされていましたが、金融機関はこれを機に隔離された事象ではないと気づき始めています。
マクロ経済の悪化がクレジット危機を引き起こしている 💳
- この問題の最強の予測因子は、マクロ経済の状況であり、人々の雇用状況がその支払能力に直結しています。
- 2人のキャスターは、労働市場がすでに悪化しており、単なる「減速」ではなく「逆行」していると主張しています。失業の懸念や労働時間の減少により、低所得層だけでなく、中所得層、さらには富裕層までがクレジットカードや自動車ローンの支払いに遅れ(延滞)始めています。
- これは、マクロ経済の弱さがクレジット市場の問題を引き起こしているという、2008年危機(リーマンショック:クレジット市場の崩壊が景気後退を引き起こした)とは逆の構図であると指摘されています。
株価の動きが金融システムへの懸念を示している
Ally Financial(13%下落)、Upstart Holdings(20%超下落)、Affirm Holdings、Bread Financial、Capital One(7%下落)など、多くの民間信用会社の株価が急落しており、市場は「待てよ、何かあるぞ」と懸念を抱き始めています。 この動きは、AIやテクノロジー関連の株価が急騰している時期に起きており、単なる表面上の小さな変動ではない可能性があります。企業の資金繰り悪化とシャドーバンキングの危険性 🏦
- 消費者だけでなく、企業も「手段がない」状態にあり、ビジネスの売上が低迷し、関税などのコストに圧迫されています。
- 企業は銀行から融資を受けられず、シャドーレンディング(在庫や売掛金を担保とする短期融資)に頼る傾向が急増しています。JPMorgan Chaseが支援するSlopeのような短期融資サービスへの申し込みが前年比で730%も急増しています。
- これは「景気はすぐに回復する」と確信している時に見られる典型的な景気循環末期の行動であり、多くの企業が倒産を避けるための最終手段として、リスクの高い代替融資スキームに訴えていることを示しています。