イタリア、トリノで開かれたテック・ウィークでの公開インタビューでソロモン氏は、全体として、短期的な市場の過熱には警戒しつつも、テクノロジーの進展を背景とした米国経済の長期的な成長力に楽観的な姿勢を示しました。
動画再生回数は、1日で4万回以上。(画像は、デイビッド・ソロモンCEOのスクリーンショット)
分析概要
短期的な逆風に注意💨
ソロモン氏は、現在の米国経済を「かなり良い状態(pretty good shape)」と評価しています。その主な要因として、政府による積極的な財政出動と、AIインフラ構築に伴う巨額の設備投資という2つの強力な「追い風」を挙げました。一方で、米国の貿易政策の影響や地政学的な不安定さといった「逆風」も存在し、2025年の成長率は年率2%弱と、トレンドをわずかに下回る可能性があると指摘しています。しかし、これらの課題が市場に吸収されるにつれて、2026年に向けて経済は再び加速するとの楽観的な見通しを示しました。今後の経済動向を占う上での注目点として、やや軟化の兆しが見える労働市場と、貿易政策が物価に与える影響を見極める必要があるインフレの動向を挙げています。
AIバブルの調整は必至
世界的に株価が過去最高水準で推移する現状について、ソロモン氏は冷静な見方を示しています。特にNVIDIAの時価総額が欧州主要国の合計を超えるなど、AI関連の熱狂が市場を牽引している点に言及しました。ソロモン氏は、過去のテクノロジー革命の際にも市場が実体経済の可能性を先取りして過熱する傾向があったと指摘し、現在の状況もそのサイクルの一部だと分析しています。インターネット黎明期に多くの企業が淘汰され、Amazonのような勝者が生まれたように、AI分野でも同様の現象が起こると予測しています。そのため、今後12〜24カ月以内に株式市場が調整局面(drawdown)を迎えても「驚くことではない」と述べ、過熱したリスクテイクへの警戒感を示しました。
AIが金融業界を大きく変える🛠️
ソロモンCEOは、AIが金融業界の働き方を大きく変えると予測しています。AIは優秀な人材の生産性を飛躍的に高めるツールであり、コーディングや業務プロセスの自動化を促進することで、企業はコスト削減だけでなく、創出された余力を成長分野へ再投資できるようになると語りました。気になる雇用への影響については、特定の業務で人員が減少する可能性は認めつつも、悲観的な見方を否定しました。ゴールドマン・サックスが企業として成長を続ける限り、AIによって生まれた新しいビジネス領域で新たな雇用が創出され、10年後には現在よりも多くの従業員を抱えているだろうと、力強く語りました。これは、過去40年間の技術革新の歴史が証明していることだと付け加えています。
また、米国のM&A市場は「意味のある」活況を呈しており、特に大規模案件は前年比で100%増と急拡大しています。この背景には、企業の戦略的な規模拡大を容認する方向へと規制環境が変化したことがあるとソロモン氏は分析しており、この勢いは2026年に向けてさらに加速すると見ています。
(AI生成画像による未来の銀行イメージ)