マクロ経済アナリストのLyn Alden(リン・オールデン)氏は、ナタリー・ブルネル氏のインタビューで、現在の経済は「大規模な好況も不況もない」状況にあるとの見方を示しました。悲観論が渦巻く一方で、冷静かつ多角的な分析を展開しています。
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分析概要
米国経済の「財政優位」
オールデン氏の分析の核心は、現在の米国経済が「財政優位(Fiscal Dominance)」の状態にあるという点です。これは、政府が景気後退がないにもかかわらずGDPの6〜7%に達する構造的な財政赤字を垂れ流しており、それが一種の景気刺激策として機能している状態を指します。この結果、経済は「K字型」あるいは成長ペースが二極化している「二速経済(two-speed economy)」の様相を呈しています。「大不況」は来ないが、景気後退の質が変わる
オールデン氏は、大規模な不況や暴落は予測していません。しかし、財政優位下での景気後退は、従来のものとは異なると指摘します。失業率が急増する代わりにインフレが高止まりすることで「ミザリー指数(悲惨指数)」が悪化するような、「新興国型」の景気後退が起こりうると分析しています。FRBのジレンマと債務問題
巨額の政府債務を背景に、FRB(連邦準備理事会)は厳しい金融引き締めを断行できず、金融システムに問題が生じれば即座に流動性供給(QE)に動かざるを得ない状況にあります。オールデン氏は、2026年頃にFRBが再びバランスシートの拡大に転じると予測していますが、パンデミック時のような急激なものではなく、緩やかなものになると見ています。
また、政府が保有ゴールドの評価額*を切り上げて債務を事実上減価させるという手段も理論上は存在しますが、これは根本的な赤字体質の解決にはならず、インフレを招く劇薬であると指摘しています。
ビットコイン vs ゴールド
最近のパフォーマンスではゴールドがビットコインを上回っていますが、オールデン氏はゴールドには短期的な過熱感があると見ています。そして、今後6カ月から12カ月の期間では、ビットコインがゴールドをアウトパフォームする可能性が高いと予測しています。長期的にはビットコインを「最も速い馬」と評価し、個人が購買力を守るための重要な資産であるとの考えを強調しています。個人へのメッセージ
オールデン氏は、政治的な解決策に期待するのではなく、個人が自らコントロールできることに集中し、希少性の高い資産を保有して自衛することの重要性を説いています。また、オンライン上の悲観論や分断に飲み込まれず、現実世界での機会を追求し、一歩ずつ着実に状況を改善していくことの重要性を訴え、希望のメッセージを送っています。*保有ゴールドの評価額:2025年9月28日時点の「NY金先物」は1オンス3800ドルを超えていますが、米財務省の保有している金の〝簿価〟は1オンス約42ドル。この評価額は、1973年に法律で定められたものです。