米コロンビア大学「持続可能な開発センター長」で経済学者のJeffrey Sachs(ジェフリー・サックス)氏は、グレン・ディーセン教授のインタビューに応じ、国連総会に出席して感じた世界の現状について深刻な懸念を表明しました。サックス氏によると、世界は意図的または偶発的な大規模戦争の瀬戸際にあり、特に米国とその同盟国の指導力と外交の失敗が危機を煽っていると指摘しています。
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分析概要
ウクライナ戦争と欧米の指導力欠如
サックス氏は、トランプ大統領の国連での演説を「支離滅裂な嘘のかたまり」と断じ、その発言には2つの相反する解釈が可能だと分析します。一つは、強硬派の意見に影響され、ウクライナが勝利可能でロシアは「張り子の虎(paper tiger)」だと本気で信じているという見方です。
もう一つは、欧州に対し「戦争がしたいなら、勝手にやれ。ただし兵器は買え」という冷笑的なメッセージを送っているという見方です。サックス氏は、どちらの解釈であれ「指導力の壮大な欠如であり無責任」だと結論づけています。
さらに、米国や欧州の指導者たちが、戦争終結に向けた具体的なビジョンを全く示していないことを強く批判しています。彼らは「決定権はウクライナにある」と繰り返すのみで、これは事実上、戒厳令下にあるゼレンスキー大統領という一個人の判断に西側世界全体の運命を委ねる無責任な態度だと指摘します。
一方で、プーチン大統領は「ウクライナの中立化」と「特定の領土の割譲」という明確な和平条件を提示していると述べています。欧米の交渉拒否の姿勢が、ウクライナの破滅的な状況を長引かせていると警鐘を鳴らしています。
中東における戦争の危機
サックス氏は、イスラエルのネタニヤフ首相を「地球上で最も危険な人物かもしれない」と評し、その国連演説を「憎悪と戦争継続野心に満ちた、卑劣で不快なもの」と酷評しました。ネタニヤフ首相の戦略は、米国を中東の広範な戦争に引き込み、イラン政府を転覆させ、パレスチナ国家の樹立を永久に阻止することにあると分析しています。サックス氏は、イランのペゼシュキアン大統領と会談した際の印象として、彼が平和と外交による解決を切に望んでいたと語ります。しかし、イランが対話の姿勢を見せるたびに、米国やイスラエルによって交渉が妨害されてきた歴史があると指摘しました。
また、シリア情勢についても言及し、元CIA長官のペトレイアス氏らがシリアの新政権を称賛していることの背景を解説しました。これは、2011年から米国とイスラエルがアサド政権転覆のために仕掛けた戦争の結果、樹立された「傀儡政権(puppet regime)」に他ならないと断じています。
国連の役割と世界の大多数の声
このように絶望的な状況を描写する一方で、サックス氏は国連そのものの崩壊ではない、と結論づけています。問題なのは、覇権維持という「誇大妄想」に取り憑かれた米国、イスラエル、英国、ドイツなど少数の国々であり、国連総会で演説した世界の大多数の国々は、平和、協力、そして国連憲章の遵守を訴えていたと強調します。サックス氏の見解では、これは「国連の崩壊」ではなく、むしろ「米国の崩壊」であり、その統治能力の質の低さが世界を危険に晒しているとします。希望は、世界の大多数の国々が団結し、これらの少数の国々を正気と責任ある行動に引き戻すことにあると、わずかながらも前向きな展望を示してインタビューを締めくくりました。