KITCO NEWSがマクロ経済アナリストStephanie Pomboy(ステファニー・ポンボイ)氏にインタビューしました。パウエルFRB議長がジャクソンホールで行った基調講演に対する市場の反応と、それに対する分析を中心に展開されています。

「The "One Data Point No One Can Fudge" Signals a Crisis is Here」のAI分析です。

8月22日のNY市場では、ダウが4万5631ドルの史上最高値をつけました。ポンボイ氏は、市場の楽観的な見方に警鐘を鳴らし、経済の根底にある深刻な問題を指摘しています。

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分析概要

市場の熱狂と利下げ効果への懐疑論

パウエル議長が利下げの可能性を示唆したことで、市場はこれを熱狂的に歓迎し、9月の利下げ確率を90%以上織り込んでいます。しかしポンボイ氏は、FRBの利下げが経済を救う「万能薬」になるかについては「非常に懐疑的」です。彼女は、FRBが政策金利(短期金利)を下げても、10年債利回りなどの長期金利が十分に低下するとは限らず、企業の借入コストや住宅市場への恩恵は限定的だと主張しています。

経済の二極化(K字回復)とインフレの真犯人

ポンボイ氏は、現在の米国経済が「持つ者と持たざる者」に二極化する「K字回復」の状態にあると分析しています。

企業の状況:

一部の巨大テック企業(Mag seven)の利益は14%増と好調ですが、S&P 500の残り約500社の利益成長率は3%程度で、インフレを考慮すると実質ゼロ成長です。

消費者の状況:

平均的な消費者はCOVID以降「不況」状態にあり、クレジットカードや自動車ローンの延滞率は金融危機以来最悪の水準に達しています。

また、パウエル議長がインフレリスクの要因として関税を挙げていることに対し、ポンボイ氏はこれを「便利なスケープゴート(a convenient scapegoat )」だと指摘。根本的な問題は、政府の巨額な財政赤字にあると主張しています。

「誰もごまかせない唯一のデータ」としての法人税収

ポンボイ氏が企業の健全性を測る上で最も信頼している指標は、会計操作が可能な利益報告ではなく「法人税収」です。彼女によると、現在、法人税収は前年比でゼロ成長となっており、これは「誰もごまかすことのできない」経済の最前線の実態を示す重要な危険信号だと強調しています。

「財政支配」と投資戦略

政治的な圧力が強まる中、FRBの独立性は失われ、政府の資金調達ニーズが優先される「財政支配(fiscal dominance)」の時代に突入しつつあると彼女は見ています。将来的には、利下げの効果がないと分かったFRBは、量的緩和(QE)の再開などバランスシートの拡大を余儀なくされ、事実上、財務省の「最後の貸し手(lender of last resort)」になるだろうと予測しています。 このようなスタグフレーション(不況とインフレの併存)環境下での投資戦略として、ポンボイ氏は以下の「ハードアセット」を推奨しています。
  • 貴金属: 金や銀、およびその鉱山株。
  • エネルギー: AIや暗号資産マイニングによる莫大な電力需要を背景に、石油、ガス、原子力などあらゆるエネルギー源が有望だと指摘しています。

最後に彼女は、市場の最大の誤りは「FRBの利下げが全ての問題を解決する」という思い込みであり、この前提が崩れた時、特に「プライベート・エクイティ市場」*などで深刻な問題が発生する可能性があると警告しています。

*プライベート・エクイティ市場:未上場企業の株式に投資する市場(または投資手法)