暗号資産系チャンネル「Bitcion Magazine」のLyn Alden(リン・オールデン)氏による〝伝説のプレゼン〟の要点を以下にまとめました。
(動画再生回数は、2カ月で31万回以上)
YouTube動画「Nothing Stops This Train | Bitcoin 2025」の分析です。(画像はスクリーンショット)
分析概要
このプレゼンは、リン・オールデン氏が米国の財政赤字が制御不能な状態にあり、今後も拡大し続けるという主張を展開するものです。その比喩として、ドラマ「ブレイキング・バッド」に由来する「Nothing stops this train(この列車は誰にも止められない)」という言葉を用いています。この止まらない列車こそが米国の財政であり、その構造的な問題と、ビットコインのような希少資産への影響を解説しています。
異常な財政赤字の現状
歴史的相関の崩壊:
オールデン氏はまず、現在の米国財政が過去の常識から逸脱している点を指摘します。
歴史的に、米国の財政赤字は失業率と強い相関関係にありました。つまり、不況期に失業率が上がると赤字は拡大し、好況期に失業率が下がると赤字は縮小するのが通例でした。
しかし、2017年頃からこの関係が崩れ、失業率が低いにもかかわらず、財政赤字がGDP比で6〜7%にまで拡大するという「デカップリング(分離)」が発生しています。これはパンデミック以前から始まっていた新しい現象であり、警鐘を鳴らすべき事態だとオールデン氏は主張します。
この財政赤字の問題は、金(gold)やビットコインといった希少資産の価格にも影響を与えます。従来、金価格は実質金利(国債利回りからインフレ率を引いたもの)と逆相関の関係にありました。
しかし、この相関も2022年頃から崩れ、FRBが利上げを行い高い実質金利が維持されているにもかかわらず、金やビットコインの価格は高騰しました。これは「何かが根本的に変わった」ことを示唆しています。
なぜ列車は止まらないのか?
オールデン氏は、財政赤字が「止められない」理由を、以下の4つの構造的な要因から説明します。金融政策の機能不全:
2008年の金融危機(リーマンショック)以降、経済における債務の主役が民間部門から連邦政府に移りました。その結果、FRBがインフレ抑制のために利上げをすると、民間企業の借入は抑制されるものの、それ以上に政府の利払い負担が急増し、かえって財政赤字を拡大させてしまうという皮肉な状況に陥っています。もはや金融政策の「ブレーキが効かない」状態なのです。
金利と債務の悪循環:
過去40年間、米国は債務を増やし続けましたが、同時に金利が下がり続けたため、利払い負担は管理可能でした。しかし、金利がゼロ近辺に達したことでこの「魔法」は終わり、高水準の債務と金利上昇が重なって、利払い費自体が連邦政府の支出を圧迫する主要因となっています。
人口動態と社会保障:
ベビーブーマー世代(日本では〝団塊の世代〟に相当)が退職期に入り、彼らが支払ってきた社会保障信託基金(Social Security Trust Fund)が、今後は支出(取り崩し)の段階に入ります。この巨額の資金が今後10年以上にわたり経済に供給され続けるため、財政赤字を恒常的に押し上げます。この世代は投票率が高く、社会保障費の削減は政治的に極めて困難なため、この支出はほぼ確定事項です。
システムの「ポンジ・スキーム(ねずみ講)」的性質:
現代の金融システムは、常に債務を拡大し続けなければ維持できない、いわば「止まると死ぬサメ( It's like a shark that can't stop swimming. Otherwise it drowns.)」のような構造を持っています。
過去110年以上の歴史で、米国の総債務が減少したのはわずか5年間のみで、システムはデレバレッジ(債務縮小)に極めて脆弱です。問題が発生するたびに、より多くの通貨(ベースマネー)を増刷することでしか解決できず、この「柔軟な台帳(flexible ledger)」は、必然的に通貨価値の希薄化を招きます。
希少資産としてのビットコイン
オールデン氏は、これらの数学的・構造的要因と、増税や歳出削減を嫌う人間性(政治的要因)が組み合わさることで、米国の財政赤字拡大は今後10年間、誰にも止められないと結論付けています。 この状況への対抗策として、オールデン氏が提示するのは「最高品質の希少資産」を保有することです。そして、その最も優れた選択肢がビットコインであると示唆します。
常に供給量が増え続け、不透明な法定通貨システムとは対照的に、ビットコインは絶対的な希少性と透明性を持ち、ルール(供給量)を変更することなくエラー修正(価格変動によるデレバレッジ)が行われる、全く逆の性質を持つシステムだと強調し、プレゼンを締めくくっています。