政治経済系ポッドキャスト「Glenn Diesen」チャンネルの国際政治学者Gilbert Doctorow(ギルバート・ドクトロウ)博士へのインタビューの要点と主張を以下にまとめました。
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YouTube動画「Europe Is Doomed:Regime Change In Kiev」の分析です。(写真は、動画のスクリーンショット)

(上のアイコンにリンク先動画)

分析概要

このインタビューでドクトロウ教授は、最近スコットランドで合意された米EU間の貿易協定を、欧州にとって「完全な降伏」であり「巨大な屈辱」であると厳しく批判しています。 教授は、この合意が欧州の経済的自立性を損ない、米国の意向に盲従する構造を固定化させたと分析します。

その背景には、ウクライナ戦争の継続を望む欧州指導者たちが、米国の軍事支援を維持するためにトランプ大統領の要求を全面的に受け入れたという力学があると指摘しています。

貿易協定の二つの側面

関税問題:

一般関税率は25%から15%に引き下げられましたが、これはトランプ大統領が当初示唆していた破滅的な関税よりはましだという見方があるに過ぎません。 しかし、欧州の高級品は価格上昇の影響を受けにくいため、実際の経済的打撃はまだ不透明です。

米国産LNGと石油の購入:

より深刻なのは、欧州が今後3年間で6500億ドル分の米国産液化天然ガス(LNG)と石油を購入するというコミットメントです。 これは、ノルドストリームパイプラインの破壊以降、安価なロシア産エネルギーから切り離されたことで進んだドイツの脱工業化など、欧州経済の非競争的な状況を固定化させるものだと教授は指摘しています。

欧州の動機と誤算

トランプ大統領の欧州指導者への軽蔑:

欧州指導者たちがこの屈辱的な協定を受け入れた最大の動機は、トランプ大統領の歓心を買うことで、ウクライナへの軍事支援を継続させることでした。 彼らは、ロシアへの勝利を自らの政治的延命と結びつけています 。しかしこれは、トランプ大統領の意図を完全に見誤った賭けであると教授は断じます。

トランプ大統領は欧州の指導者たちを軽蔑しており 、彼らをいじめることに成功した「いじめっ子(bully)」にすぎません。 実際にトランプ大統領はウクライナへの支援を停止しており、ゼレンスキー政権の交代を画策している可能性すらあります。

欧州連合(EU)の内部問題と未来:

ドクトロウ教授は「欧州とはドイツである」と述べ、EUの主要な政策や人事がドイツの意向によって決定されていると主張します。 マクロン仏大統領やスターマー英首相のような国内で不人気な指導者たちは、国民の目をそらすために外交問題に注力する傾向があります。 現在のEU指導部は、軍備増強のために国民の福祉を削減するなど、自国民の利益に反する政策を進めており 、このままではEUは「破滅する(Europe is doomed as well)」と悲観的な見通しを示しています。

ウクライナ情勢の見通し

ゼレンスキー大統領は、欧米メディアからも〝権威主義的〟と批判されるなど「傷物(damaged goods)」となっており 、彼の退任は近いと見られています。 後継者として、戦争継続を望む英国はザルジニー前軍総司令官を、和平交渉を望む米国はクリミア・タタール系のウメロフ国防相を推している可能性があります。 ロシアは9月までにドネツク全域など目標地域を制圧する可能性があり、その後、ロシア側の要求に近い形での和平交渉が実現するかもしれないと予測しています。